TOEICスコア840点所持者であるTさんにTOEIC体験談を寄稿頂きました。
Tさんの経験及び考えに基づき作成した簡単なTOEICについてのレポートです。(※大いに個人的偏見が含まれていますので、読む際はその点をご了承ください。)
まず初めに注意しなければいけないことは、TOEICのような、頭に入っている知識量や出題傾向への慣れを求められる試験は、一朝一夕でどうにかなるものではないということです。
1週間を1サイクルとして勉強を考えたとき、”今日はやりたくないから、明日倍やればいいや”などという考えは通用しません。
むしろ”やりたくない”と思ってしまうほどの学習量を、自分に最初から課すこと自体が間違いだと私は考えています。
早く高得点を取りたいという気概はもっとも重要な要素のひとつですが、ここはグッと我慢をし、苦にならない程度の学習量から始めましょう。(1日に、単語10個、参考書3P、英語の短編動画1本など)
個人的には”習慣に出来てしまえばこっちのもの”だと考えています、”塵も積もれば山となる”とはよく言ったものです。
一度慣れてしまえば、自分が無理なくできる学習量との距離感がわかってくるかと思うので徐々に増やしていくこともできるでしょう。
しかしここで大事なのは、”気分が乗らない日は学習量を減らしても良い”と考えておくことです。
多くの人は、一度軌道に乗ったら絶対にしくじってはいけないと、過度に自分にプレッシャーをかけてしまいます。
そして一度でもサボってしまった日には、モチベーションは見る影もなく崩れ落ち、習慣は消え去ります。
これはジレンマですが、極端な話1日サボったくらいでは、新しいことこそ学習できませんが、頭に入っているものは消えてなくなりはしないのです。
しかし、毎日学習しなければ習慣はなくなりこれ以上の成長が望めないことも事実です。
このような自己矛盾に陥らないためにも、”無理せず毎日勉強する”ことが大事なのです。
TOEICで高得点を取らなければこの世が終わるのであれば仕方がありませんが、そのような状況でない限りはもう少し肩の力を抜いて、楽しんで学習するに越したことはないと思います。
前置きが長くなってしまいましたが、大きく2つ(リスニング・リーディング)に分けて私なりの勉強法を説明していきます。
※これは私の生活サイクルに基づいた勉強法となるため、異なる方は自分なりのアレンジが必要となります。
平日:月~金曜日 仕事 (通勤時の電車内滞在時間:約1時間)
週末:土・日曜日 休み
私は元来、幼少の頃より海外映画・ドラマは字幕派の人間であるため英語音声のコンテンツに親しみがありました。
勉強を始めてからの大きな違いといえば、字幕を日本語から英語に変えたことです。
ポイントは、好きなもの・興味のあるものを英語字幕で見ることです。初めは短い動画でも構いませんので、”目で見た文章”と”耳で聞いた音声”の辻褄が合うように意識してみましょう。
私の場合、Facebook上の面白い個人撮影動画や海外テレビ番組の抜粋をまとめている公式ページをフォローし、毎日ニヤニヤしながら通勤中の電車にて学習していました。
ここでのポイントは、何回も分かるまで同じ動画を見続ける事です。
例えば1度目は英語字幕を読みつつ必ず最後まで動画を見ます。
2度目はわからない部分がどこか意識しながら見ましょう。
3度目からは動画であれば一時停止もできるので、止めてはわからない単語や表現を調べることを繰り返しましょう。
そうしてほぼ100%把握したら今度は英語字幕なし、できなければ映像を見ずに一度流し聞きします。
今度は音声のみで聞いたときにわからなかった部分を探し、調べることを繰り返します。
ここまでやって初めて、目と耳から入ってくる情報が一致します。
みなさんご存知の通り、”知らないものは聞くことができない、聞いても理解できない”ので、初めは英語字幕という補助付きで学習し、慣れてきたら音声のみで理解できるよう挑戦をするということです。
私は何度も飽きずに見続けることができるように、特に面白い動画やホームコメディでこれを行なっていました。
何故ならみんなが面白いと思うことを私も理解したいというモチベーションがあったからです。
逆にミステリーやトリックのようなものは、私の場合はわからなくても流してしまうことができてしまったため、この勉強法には合いませんでした。
ですからやはり個々の趣向にあったものを選ぶ必要がありますね。
この学習の最終形は映画でこれを行うことですが、海外滞在当時の私ですら一回気合を入れてからでないと臨めないことなので、トライしたい方はすでに何度も見ているお気に入りの一本を選んで始めると良いと思います。
リーディングのセクションは日本教育伝統の”暗記形式”の学習法が活きてくるため、日本人である私たちには決して難しいものではないと思います。
しかし継続学習へのモチベーションはリスニングのそれと比べて維持が難しいでしょう。
ただ単語や文法を暗記することに面白味はありませんよね。
そうなってくると活きてくるのが前述のリスニングの勉強法とのリンクです。
英語字幕を見つつ動画で勉強している段階でわからなかった単語や文法は、単体で覚えるのではなく会話などの流れ(ストーリー)で丸ごと覚えてしまうと良いと思います。
その際におすすめのコンテンツが、こちらも前述のホームコメディです。
この広い世界に様々な文化をもって生きる人々に、唯一共通するものが家族や友達などの”絆”にまつわるストーリーです。
そのため世界的に人気な名作ドラマであるフルハウスやフレンズ、最近だとモダンファミリーといったものはすべからく”ホームコメディ”のジャンルなのです。
したがってこのようなドラマは必ず日本人にも相通ずるものがあるため、話に入り込みやすく勉強の教材にも最適です。
そしてTOEICのリーディングの問題上でファンタジーやSFの類のようなマニアックな専門用語は出題されません。
つまり私たちの日常の延長線上にあるような単語群や文法こそTOEICにもそのまま必要なものであり、その学習といった意味でもホームコメディは適しているといえるのです。
リーディングの勉強法なのにも関わらず、単語や文法の話ばかりで、その名のごとく英字を”読む”方はしなくていいのかとみなさんお思いでしょうが、私個人的な意見としてはTOEICのリーディングは”難易度との勝負”ではなく、”時間との勝負”のため、”読む”対策は模擬テストの問題集をこなし、問題慣れするだけで十分だと考えています。
他にも並行して通勤時の電車の中や休憩時間中に、高校受験の際に使用していたTARGET1900という単語集を復習と脳のエクササイズも兼ねて読んでいました。
“知らないものは読むことができない、読んでも理解できない”ため下地である知識量を増やすことにフォーカスする方が高得点への近道だと思います。
ここでは各Partの概要と私なりのコツを簡単にご紹介します。
概要:写真描写問題 10問 1枚の写真に付き4つの選択肢
【Study tips】
写真を見た段階で、準備できるだけの写真上の状況を頭に用意しておきます。(できれば英語で)
難しい語彙は出題されませんが、ひっかけは多いので注意が必要です。
※同音異義語ex)read and leadや、状態・動作を表す表現の違いなど
また、もっともらしい表現をしているが写真からは得られない情報の文章は×です。
概要:応答問題 30問 1つの質問or文章に付き3つの選択肢
【Study tips】
質問や文章に対しての正しい答えを選ぶ問題です。時制や誰に対するものかを意識しつつ、全体を把握するように聞くようにしましょう。聞いた文章を頭の中で復唱するとスムーズに理解しやすくなります。
概要:会話問題 30問 2人の人物の会話の問題 各会話設問3つ
【Study tips】
このPartは設問が印刷されているので先に設問だけ読み、何を聞かれているか把握してからリスニングに臨むと良いと思います。ひっかけもあるので、極力選択肢は先に見ずに先入観なしで挑みましょう。
概要:説明文問題 30問 アナウンス・ナレーションを聞く問題 各問い設問3つ
【Study tips】
Part3と同一形式の問題なので上記を参照してください。
概要:短文穴埋め問題 40問 4つの選択肢からフィットするものを選ぶ問題
【Study tips】
派生語の問題が多いため、しっかり文章の構成を把握し主語・述語・目的語などを明確にし、答えはどの形の穴埋めなのかを理解します。※名詞・動詞・形容詞・副詞など
概要:長文穴埋め問題 12問
【Study tips】
文頭からしっかりと読み進めていくこと。時制によっては設問より後に回答のヒントが来ることもあるので、注意しながら問題を解きましょう。前後関係を意識して読むと◎。
概要:読解問題 48問 (1つの文書の問題28問、2つの文書の問題20問)
【Study tips】
恐らくTOEICの問題で最難関のPartがこのPart7でしょう。
時間的にも難易度的にも厳しいところですが、このPartに慣れること、早く回答するコツを掴むことが高得点への近道です。
流れとしては、1つ目の設問をチェックしてから文章を頭から読み進め、回答があり次第マークし、次の設問をチェック→文章をその途中から再開、回答を見つける→チェックの繰り返しです。
長文のため内容を忘れがちになり読み返すはめになることを防ぐためにも、常時最低限の読み進め→回答を見つけることを意識して臨みましょう。
このPartの回答は、問題文章の言い換え大会のため、同義の別表現をどれだけ見つけられるかもポイントです。
参考書ですが、ある程度の語彙力や知識を付けてから購入することをおすすめします。
特に俗に言うハウツー本は一度も試験(模擬試験含む)を受けたことがない方にとっては理解しにくい構成となっていることが多いため、まずはしっかりと単語や文法など語学の下地となる力を付けてから実践的な参考書に移り、最後のアクセント程度にハウツー本を読むと良いかと思います。
また、参考書は終わっては新しいものに移ることを繰り返すのではなく、1冊の参考書をどれだけやり込めるか、完璧に把握するかを追求しましょう。
問題集で言えば、1冊を80%の理解度で終わらせ次のものに移っても、20%の落ち度が次もあなたを悩ませることになるでしょう。
それを防ぐためにも、まず問題集なら1冊を100%正答できるまでやり込み、不安要素をなくしてから次に挑むと質も上がります。
同じものを2度以上やっても、1度目以降は問題を覚えてしまって意味がないとお思いの方もいるでしょう。
しかし、80%程度の理解度で流して問題集を終わらせてしまう傾向にある方は、少し違った角度から出題されたほぼ同様の問題でミスをしてしまうのが現実といえます。
“量より質”がTOEIC攻略の本質だと私は考えています。
以下私が実際に使っていた参考書の感想を記載していますので参考にしてもらえればと思います。
アメリカのTOEICテスト開発期間が作成した限りなく本番に近い、模擬テスト問題集
【感想】
その名のごとく、完璧に本番のテストの様式を踏襲した問題集です。
出題される語彙の傾向までフォローされているため完成度がかなり高い印象があります。
この問題集1冊で丸々2回分のテスト問題が収録されているので、私は毎週末繰り返しどちらかを解くことで回答の精度を高め、また出題傾向に慣れることもできました。
TOEIC試験攻略のためのハウツー本 各パートの解説あり
【感想】
TOEIC試験をいかに効率的に、時間を残して全問回答するかのコツが詳細に解説された優秀な本です。
しかし良くも悪くも万人受けするような回答メソッドを紹介しているため、自分なりの攻略法を見出す糸口として参考にすることをおすすめします。
発行元の朝日出版ホームページにて簡易なリスニング教材などをダウンロード可能。
最後に、“TOEICは忍耐だ”とどこかの参考書で読んだことがありますが、本当にその通りだと思います。
しかしそれは裏を返せば学習した分だけ自分にスコアとなって投影されるということです。
正直に言いますとTOEICのスコアで個々の英語能力が100%推し計れるとは思いません。
しかし留学後の実力測定や、就職活動及び転職活動のために取得するスコアとしては適していると思います。
なぜなら、この試験は少なくとも勉強して得たもの、留学して得たものがスコアに直結する仕組みとなっているからです。
これは留学を経験した身だからこそ感じることですが、一度も英会話をしたことのない人や留学をしたことのない人がTOEICで900点以上取るのには多大な労力を要します。
留学をしていた人や英会話をしたことのある人にとっては、英語はもはや”学問”ではなく”言語・意思疎通の手段”としての認識があります。
そのため英語を学習する際、すべてのことが自分の英会話や意思疎通の糧となると考えることができるため、実践のイメージがしやすく、新しいことを覚えるのも決して難しくありません。
一方で英語を一度も言語として使ったことがない人は、実践のイメージを頭に描くことができないため、単なる英語という学問の暗記作業となってしまいがちです。
これでは数学を勉強しているのと大差ありません、ひたすらに勉強し続け、覚え、慣れるしかないのです。
上記の理由から、逆に私は高得点を持っている非留学経験者・非英会話経験者を尊敬するようになりました。
企業の採用審査などの場でもTOEICによって英語力の判定をするだけでなく、ひたむきに勉強に打ち込める忍耐力までも評価してほしいものです。
私もこれからまだまだTOEICというものに向き合い高得点を取るため学習を続けるつもりです。
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